
2007年3月から80回続いた朝日新聞土曜版beの『デジカメのキモ』ですが、今回で終わりです。
実は4月に終わるかもしれなかったのですが、そのときは延命措置が施され、半年延長となりました。
小さなスペースに写真と文章を押し込み、毎回違うトピックスを立てるというのは大変なことで、ネタ探しに明け暮れた1年7か月でした。
ちなみに「デジカメの肝」というのは、最初のデジカメ本『デジカメ写真は撮ったまま使うな』(岩波アクティブ新書)のときのタイトル案として私が提出したものですが、そのときは却下され、beの連載で日の目を見た?ものです。
おかげさまで、デジタル欄では常にいちばん支持が高かったそうです。さらに担当編集者から聞いたところでは、特に反響が大きかったのは、画素数が多ければいいというものではない、という話のときだったそうです。レンズの話もかなり興味を持って読まれたようです。
そのへんを踏まえて、この連載中、ずっと暖めてきた内容を、新刊『デジカメに1000万画素はいらない』(講談社現代新書、10月20日発売)にまとめました。新書ですから1000円でお釣りがくるコンパクトな本ですが、収録した写真はすべてカラー。200ページ弱の半分近くはカラー写真で埋められています。
新聞紙面では小さすぎて分からなかった写真も、きれいに再録されています。
この本を書くために、あまりほしくはない最新型の1000万画素コンパクトデジカメを買いました。
雑誌の特集のために借りた別のテスト機を使ったときの印象もそうですが、とにかく色味が薄くて使いづらいです。高画素化の弊害でしょう。
薄暗い場所で撮ったときは特に欠点が顕著に出ます。1画素あたりの光量が完全に不足しているんですね。
それを目立たせないために、露出は常にオーバー気味(少しでも光を取り込もうとする)だし、映像記録処理段階で、相当凝ったことをしているようです。
そうした難しい条件を克服するという試練を経てきているからでしょう、映像エンジンの設計はすばらしく、何世代か前のカメラに比べると格段によくできています。もちろん、モニターの見やすさや処理速度の向上も劇的なものがあり、最新型を使うと、以前のモデルは触る気がしなくなります。
しかし、この技術力を使って、適正な画素数(例えば500万画素を上限とし、場合によっては200万画素くらい)にしてCCDを作れば、撮れる写真は確実にきれいになるでしょう。
例えば、カシオのフラッグシップモデル、EXILIM PRO EX-F1は、1/1.8型CMOSで600万画素です。これで実売最安価格は8万円台。CMOSによる高速処理が売りですが、画素数については何も言っていません。しかし、実際にはこのCMOSを1000万画素にして設計すれば、画質は確実に「落ちる」はずです。1/1.8型で600万画素におさえた設計こそ、画質向上のポイントであると私は見ています。
一方、売れ筋のEXILIM ZOOM EX-Z300やEXILIM ZOOM EX-Z200は、1/2.33型CCDで1000万画素。おそらくこれはシャープ製のCCDだと思いますが、1/4の値段で売られているモデルのほうが小さな撮像素子に高画素を詰め込んでいるのです。逆に言えば、カメラを分かっている人が買うであろう高級機は、大きな撮像素子に余裕を持った低い解像度で、1画素あたりの光量を確保しているのです。
売れ筋コンパクト機を買う人たちには、どうせ画質なんて分かるわけがないと思っているのでしょう。
……という話の続きは、本で読んでください。
連載の最後は、「作品の発表」というテーマにしました。
先日開催した写真展は、出品者のひとりが所有しているA2判が印刷できるプリンターを使って作品をA2に印刷し、それを額装しました。
A2判のカラープリンターは10万円ちょっとで買えます。以前では考えられなかったような安さですが、それでも個人が趣味で使うには高価な道具です。写真サークルで共同購入するとか、仕事で使っている人に頼むとか、安くできる方法を考えられそうです。
A2の額は2000円ちょっとでした。15個買ったので、約3万円ちょっと。これがいちばん大きな出費でした。
写真集や絵葉書(写真葉書)を作るのも楽しいものです。オンデマンド印刷(業務用カラーコピー機使用)を使えば、少部数でも単価がそれほど高くはなりません。
傑作写真を100枚程度葉書に印刷し、名刺代わりに使えば、かなり楽しめます。
今回の写真展は、地元のテレビ局(福島中央テレビ)が取材に来て、衛星生中継してくれました。
写真はそのときの様子と、写真展の準備風景です。
詳細は「阿武隈日記」の⇒このへんから見ていってください。
beの連載が終わってしまったので、今後は更新の頻度は減ると思いますが、このブログはこのまま開いていますので、末永くおつきあいくださいますよう、よろしくお願いいたします。
